初期の花電車

花電車。

アルケミーレコード30年余の歴史の中で、最強のロックバンドはこの"花電車"だろう。

アルケミーレコードは、大阪のライブハウス「エッグプラント」と共に関西アンダーグラウンド・ロック・シーンを牽引していた時期があったが、特に輝いていたのは1980年代後半から1990年代前半の時期だったと思う。赤痢、原爆オナニーズ、ハナタラシ、AUSCHWITZ、メスカリン・ドライヴ、想い出波止場、フォーク・テールズ、サバート・ブレイズ、RAPES、DANSE MACABRA、GRIFFINなど、多くの関西のバンドがアルケミーレコードから作品をリリースしていた。

いわゆる「ウエスト・サイケデリア」と呼ばれた関西のロック・バンド・シーンがあり、ビートパンク全盛の時代にも関わらず、60-70年代のサイケデリック・ロックを現代風にアレンジして演奏してたバンド群があったのだ。その中でも花電車は最も音の大きなロックバンドだった。轟音、サイケにうねるギター、変拍子をものともしない高速ドラム、地を弾き擦るように重いベース、そして絶叫に近いボーカルながら格別に繊細で叙情的なヒラのボーカルは素晴らしかった。

アルケミーレコードの歴史はまだ終わっていないが、今までリリースした作品で一番好きなアルバムをあげろと言われれば、私は花電車の作品をリストから外すことはないと断言できる。最も音がでかく、最もテクニックがあり、最も格好良かった大阪のバンドは、間違いなく花電車だったからだ。彼らの演奏するロックは、紛れもなく純粋にロックだった。最高のバンドだった。