ヒラ : ヴォーカル
野間易通 : ギター
楯川陽二郎 : ドラムス
キクコ : ベース ( [1] 2-4, 7-10 ),
青柳努 : ベース ( [1] 1, [2] 1-6)
(ゲスト) 山本精一 : ギター ([1] 10)
花電車
ライヴ・アット・ノーウェア 1987-1989
アルケミー ARCD236/237 (2CD) ¥3,000 (w/o tax)
DISC1
  • 1. ウー・ベイビー * 8’43”
    1989年2月26日、大阪花園町・エッグプラント
  • 2. 白痴回し * 6’45”
    1987年5月10日、京都北白川・CBGB
  • 3. ミシシッピ・ヒッピー * 3’18”
    1988年2月15日、大阪花園町・エッグプラント
  • 4. 泥棒の愛 * 9’11”
    1988年2月15日、大阪花園町・エッグプラント
  • 5. ファイアーストーム * 1’35”
    1987年5月10日、京都北白川・CBGB
  • 6. デッド・バンギング * 4’39”
    1987年5月27日、京都烏丸丸太町・どん底ハウス
  • 7. ドッグ・ファイト * 5’54”
    1988年1月30日、大阪花園町・エッグプラント
  • 8. スペース・ロケット * 5’21”
    1987年8月5日、大阪花園町・エッグプラント
  • 9. ヤング・ドッグ * 10’08”
    1988年8月28日、収録場所不明
  • 10. マリー・マリー・マリー 16’33”
    1987年10月31日、大阪心斎橋・サンホール
DISC2
  • 1. フューチャー・デッドロック 5’43”
    1988年11月6日、東京渋谷・ラママ
  • 2. バッド・チューブ 10’11”
    1988年11月6日、東京渋谷・ラママ
  • 3. ホット・ケーキ 5’12”
    1988年11月6日、東京渋谷・ラママ
  • 4. ブラッサム・ボディ 5’34”
    1988年11月6日、東京渋谷・ラママ
  • 5. ブラッド・スター 15’37”
    1988年11月6日、東京渋谷・ラママ
  • 6. ヘヴンサッカー 7’04”
    1989年2月26日、大阪花園町・エッグプラント
  • 7. ゴッドスピード * 10’29”
    1987年7月11日、大阪花園町・エッグプラント
  • *=未発表曲
地獄のような、いや地獄そのものの演奏だ
松山晋也(音楽評論家)

『ライヴ・アット・ノーウェア1987-1989』は、デビュー・アルバムリリース以前のライヴ音源を集めたもので、17曲中10曲が未発表曲。残り7曲中、前述の「ヘヴンサッカー」以外の6曲は、『ザ・ゴールデン・エイジ・オブ・ヘヴィ・ブラッド』に収録されることになる楽曲だ(ただし、今回本作と同時に再発されるデビュー・アルバムのCD版にはボーナス・トラックとして「ヘヴンサッカー」と「ヘッドスピニングディジーブルース」がともに収録されていた)。

録音された期間は、87年5月10日(京都CBGB)から89年2月26日(エッグプラント)まで。よって、ベイシストは、途中でキクコからアオヤギへと交替している。なんと、すべての音源が客席でカセット・ウォークマンによって録音されたものらしいが、驚くほどクリアな音質になっているのは、マスタリング技術の賜物なのか、ウォークマンの優秀さゆえなのか。

全17曲。とことんヘヴィ。ちょっと箸休め、みたいな曲はひとつもない。終始ファズの嵐が吹き荒れるギター、黒々とした野太いベイス、微妙な横揺れでアンサンブルを前へ前へと駆り立てるテクニカルなドラム、そして発狂したようなヴォーカル。地獄のような、いや地獄そのもののサウンドだ。情け容赦ないというか、逃げ場がないというか。

いずれの演奏もとことん重いのだが、加速感がある。メンバー4人のそれぞれが他のプレイヤーのケツを蹴り飛ばして煽るような、そんな乱暴な加速感が。ディストーションやファズを駆使したノイジー&ヘヴィなネオ・サイケ・ロック、たとえば当時欧米ロック好きの間で注目されつつあったマイ・ブラッディ・ヴァレンタインなどとは、質的にまったく異なるノイズであり、重さであり、加速感だ。そして、それらが一体となって醸し出される得体の知れない熱こそが、まさに、関西の“粋”なのだと思う。